遠い国の山のふもと この世で一番きれいな水が湧いた
やがてそれは川になり そこに群れを作った魚を
腹をすかした熊が食べて 猟師が熊の皮を剥いで
それを市場で売りさばいて 娘のために買った髪飾り
悪い人間がやってきて 全部奪ってしまったのは
歴史のちょうど真ん中あたり 神様も悪ん坊の時代
母親のこぼした涙が焼けた匂いの土に染みて
それを太陽が焦がして 上発してできた黒い雨雲

その雲は海を越えた砂漠に 五ヶ月ぶりの雨を降らせた
甘水を飲んで生き延びた詩人が 祠に帰って歌った歌
それを口ずさんだ子供たちが 前線に追い出される頃
頭を吹き飛ばされた少女が 誰にも知られず土に返る

そこに育った大きな木が 切り倒されて街ができて
黒い煙が空に昇る頃 汚れた顔で僕ら生まれた
善いで殺される人 悪意で飯にありつける人
暴漢して救われた命 辻つま合わせに生まれた僕ら

高層ビルに張り付けの価値観は 地の涙を流す
消費が美徳の人間が こぞって石を投げつけるから
金にもならない絵を描いた画家は 筆をへしおられて
見えっ張りで満員の電車が走る 交わしている
基盤愛楽をカテゴライズ 人に合わせて歌ができて
悲しい時はこの歌を 寂しい奴はあの歌を
騙されねえと疑い出して 全部が怪しく見えてきて
人を信じられなくなったら 立派な病気にカテゴライズ

不健康な心が飢えて 悲劇をもっとと叫んでいる
対義名分ができた他人が 山賤さもなく断罪する
人殺しと誰かの不倫と 宗教と流行の店と
いじめと夜九時のドラマと 戦争とヒットチャートと

誰もが転がる石なのに 皆が特別だと思うから
選ばれなかった少年は ナイフを握りしめて立ってた
匿名を決め込む駅前の雑踏が 真っ赤に染まったのは
夕焼け空が綺麗だから 辻つま合わせに生まれた僕ら

ふざけた歴史の鈍ざまりで 僕ら未だにもがいている
結局何もわからずに 許すとか許されないとか
死刑になった犯罪者も 聖者のふりした悪人も
罪深い君も僕も いつか土に返った時

その上に花が咲くなら それだけで報われる世界
そこで人が愛し合うなら それだけで価値のある世界
だからせめて人を愛して 一生かけて愛してよ
この六でもない世界で 辻つま合わせに生まれた僕ら

Composição: Amazarashi